近年、自分のアイデアでビジネスを立ち上げる「学生起業家」が注目を集めています。
政府もスタートアップ企業を支援する動きを強めており、若い世代が挑戦しやすい環境が整いつつあると言えるでしょう。
しかし、いざ起業したいと思っても、「何から手をつければいいの?」「事業を始めるためのお金はどうすれば?」といった具体的な疑問や不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
今回は、学生が起業を目指す際に知っておきたい、最初の一歩の踏み出し方や資金集めの方法についてご紹介します。
学生が起業するには何から始めるべきか?
3つのステップ(アイデア決定→事業計画作成→開業手続き)で進める
学生が起業を考えたとき、やみくもに動き出すのではなく、順序立てて準備を進めることが成功への近道です。
基本的には、以下の3つのステップで進めていくとよいでしょう。
・ステップ1
事業アイデアの決定
まずは「どんな目的で、どのような事業を行うか」を明確にします。
自分の興味や得意なこと、社会の課題などからアイデアの種を見つけましょう。
大切なのは、そのアイデアが単なる思いつきで終わらず、「ビジネスとして成り立つか」という視点を持つことです。
市場にニーズはあるか、競合はいるかなどを調べ、実現可能性を探ります。
・ステップ2
事業計画書の作成
アイデアが固まったら、それを具体的な計画に落とし込む「事業計画書」を作成します。
事業計画書には、事業内容、ターゲット顧客、商品やサービスの提供方法、収益モデル、集客戦略などを具体的に記します。
この計画書は、自分の考えを整理するだけでなく、後述する資金調達の場面で、支援者や投資家に事業の魅力を伝えるための重要なツールになります。
・ステップ3
開業手続き
事業計画が完成し、いよいよ事業をスタートする段階になったら、開業のための手続きを行います。
事業の始め方には、個人として事業を行う「個人事業主」と、会社を設立する「法人」の2つの選択肢があります。
経験や資金が少ないためスモールビジネスから始める
学生起業の多くは、社会人経験やビジネス知識、そして自己資金が潤沢ではない状態でスタートします。
そのため、いきなり大きな規模の事業を目指すのはリスクが高いと言えます。
そこでおすすめしたいのが、小規模な事業から始める「スモールビジネス」です。
スモールビジネスは、少ない初期費用で始められるため、万が一事業がうまくいかなかった場合の金銭的なダメージを最小限に抑えられます。
また、一人や少人数で運営することが多いため、意思決定が速く、状況に応じて柔軟に事業の方向性を修正しやすいというメリットもあります。
まずは自分の手が届く範囲でビジネスを始め、経験を積みながら少しずつ事業を拡大していくのが現実的な戦略と言えるでしょう。
まずは開業届の提出だけで済む個人事業主を検討する
スモールビジネスを始めるにあたって、まず検討したいのが「個人事業主」という形態です。
株式会社や合同会社といった法人を設立する場合、定款の作成や法人登記など複雑な手続きが必要で、設立費用も最低数万円から数十万円かかります。
一方、個人事業主は、税務署に「開業届」という書類を1枚提出するだけで事業を始めることができます。
手続きが非常にシンプルで、費用もかかりません。
まずは個人事業主としてビジネスをスタートさせ、事業が軌道に乗って売上が安定してきた段階で、社会的信用度の高い法人への切り替え(法人成り)を検討するという方法が、学生にとっては負担の少ない選択肢となるでしょう。

学生が事業資金を調達するにはどうすればよいか?
実績不足から金融機関からの融資は難しい
学生起業における最も大きなハードルの一つが、事業資金の調達です。
事業を始めるには、パソコンの購入費やWebサイトの制作費、商品の仕入れ代など、さまざまな初期費用がかかります。
しかし、ビジネスの実績や社会的な信用がまだない学生が、銀行などの金融機関から融資を受けるのは非常に難しいのが現実です。
融資の審査では、事業の将来性だけでなく、返済能力が厳しく見られるため、学生という立場は不利になりがちです。
そのため、金融機関からの借入は主な選択肢と考えず、他の方法を探す必要があります。
国や自治体の補助金・助成金制度を活用する
金融機関からの融資が難しい学生にとって、心強い味方となるのが、国や地方自治体が提供する「補助金」や「助成金」です。
これらは、特定の条件を満たす事業に対して国や自治体が資金の一部を支援してくれる制度で、原則として返済の必要がありません。
近年は、若者の起業を後押しするための制度が増えています。
例えば、創業支援を目的とした補助金や、特定の地域での起業を支援する助成金など、さまざまな種類があります。
自分が住んでいる自治体のホームページや、中小企業庁の支援サイトなどで情報を探し、活用できる制度がないか積極的に調べてみましょう。
ビジネスコンテストやクラウドファンディングも選択肢に入れる
補助金や助成金の他にも、学生が資金を調達する方法はあります。
その代表的なものが「ビジネスコンテスト」と「クラウドファンディング」です。
ビジネスコンテストは、企業や団体が主催する事業アイデアの発表会です。
優れたプランは表彰され、賞金として事業資金を得ることができます。
賞金だけでなく、専門家から事業計画へのアドバイスをもらえたり、投資家との繋がりができたりする貴重な機会にもなります。
クラウドファンディングは、インターネットを通じて自分の事業アイデアを発信し、その内容に共感してくれた不特定多数の人々から少額ずつ資金を募る仕組みです。
資金調達ができるだけでなく、事業を始める前からファンを獲得したり、市場の反応を確かめたりするマーケティングの場としても活用できます。

まとめ
学生が起業を目指す際は、まず「アイデアの決定」「事業計画の作成」「開業手続き」というステップを踏むことが大切です。
特に、経験や資金が限られている学生にとっては、リスクを抑えられる「スモールビジネス」や、手続きが簡単な「個人事業主」から始めるのが現実的です。
また、資金調達においては、金融機関からの融資は難しいことを念頭に置き、国や自治体の補助金・助成金、ビジネスコンテスト、クラウドファンディングといった多様な選択肢を視野に入れることが成功の鍵となります。
学生時代の起業経験は、たとえ失敗したとしても、その後の人生においてかけがえのない財産になるはずです。
ぜひ、この記事を参考に、夢への第一歩を踏み出してみてください。